フィネガンズ・ウェイク5pその4

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今回はわりと楽な所が多い。

for a nod to the nabir is better than wink to the wabsanti.
→宮田「隣人預言者へのうなずきは不在の聖人への流し目よりましゆえに」
柳瀬「というのも隣神にうなずくのが留守神に流し目するよりまし」
nodは「うなずく」。nabiはアラビア語で「預言者」だと(アラビア語はさすがにわからない)。それと隣人neighborである。wabsantiとは、absent不在の、とイタリア語のsanti聖人の合成語らしい。

otherways wesways like that provost scoffing bedoneen the jebel and the jpysian sea.
→宮田「さもなくばわれらはベドウィン魔の山とエジプトの海の間で進退窮まれるあの預言者の棺のごとくぐらつくだろう」
柳瀬「さもなければあの大僧正の棺鄲の夢うつらうつら、魔界山とエジプシー海の間を床四苦も罵詈まくるかとになる」
otherwaysはotherwiseさもなければ。weswaysは、we sway「私たちは揺れる」だし、weswasはアラビア語で「悪魔のささやき」らしい。またワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の一番最初のセリフで、「西方へ、眼差しはさまよい、東方へ、船はさすらう」というのがあって、otherways weswaysで(ドイツ語のost東とwest西)このセリフをほのめかしているようなのである。
provostっていうと、辞書には「大学の副学長、司祭長」とかあって、これだけだとわからないが、scoffingにはcoffin棺と、scoffあざ笑うがあり、(おそらくこれが柳瀬の「罵詈まくる」のもと)bedoneenにはベッドもあるし、bedouinはベドウィン、betweenも入っている。oneenというのはonとinだと言えそうだ。jebelはアラビア語で山。jpysianは間違いなくエジプトとジプシーが入っていると言える。

cropherb the crunchbracken shall decide.
→宮田「草刈り・草食み男が決すべきこと」
柳瀬「背む黒の草野刈助に決めさせろ」
cropには「収穫」とか「刈る、草を食む」という意味がある。herbは「草、ハーブ」(フランス語ではherbe)。crunchは「ぼりぼり噛む」、brackenは「ワラビの茂み」。ドイツ語でbrockenとかいうと「がっしりした男」でもある。そこにブラックが入って、柳瀬の「背む黒」となっているか。

then we'll know it the feast is a flyday.
→宮田「それでわれらにも宴が金揚日か否かが分かるだろう」
柳瀬「それで宴が金揚日かどうかがわかるだろう」
ほとんど同じだな。feastは祝日、祝宴だし、flydayはflyとfridayだもんね。

she has a gift of seek on site and she allcasually ansars helpers, the dreamydeary.
→宮田「彼女は千里眼の女、夢見るヒトコブラクダのようにいとも気軽にお助け男たちに応える」
柳瀬「なにせ壺心得の女、所在ありげに助けべ男に応じる夢姫だ」
seekは「捜す」。昔学習漫画で読んだけど、千里眼の実験には壺とか使うよなたしか。casuallyはよく言うカジュアル=気楽な、である。柳瀬の「所在ありげ」とは、「所在ない」というと「手持ちぶさた」とかになるので、その反対、やることに困らないというような感じだろう。ansarsはanswer答える。dreamyはいいとして、dearyは「かわいい」。dromedary(ドロームダリー)というと英語で「ヒトコブラクダ」である。これは柳瀬では書いてない。

Heed!heed. It may half been a missfired brick, as some say, or it mought have been due to a collupsus of his back promises, as others looked at it.
→宮田「注意!注意!あれは生焼け煉瓦のせいだったと言う者もあれば裏約束が崩れたせいだったと見る者もある」
柳瀬「ご注意!ご注意!た半分は不発生焼け煉瓦のせいだったろう、という者もあれば、裏家姑束(うらやくそく)の凋落のせいだったらしい、と見た者もいる」
heedは「注意」。collapseは「崩壊、凋落」。柳瀬の「た半分」とは、「多分」が入っているのだ。corruptだと「堕落した」となるので、それも入れて「姑息」が柳瀬ではほのめかされているのかもしれん。

(there extand by now one thousand and one stories, all told, of the same)
→宮田「(今では全部語れば同じ話が千と一つの物語になる)」
柳瀬「(今や拡立する千一屋の物語、すべて同じ夜伽話)」
extendは「拡張する」。existent存在している、も入ってそう。これも簡単だったな。