フィネガンズ・ウェイク4p~5p

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a waalworth of a skyerscape of most eyeful hoyth entowerly, erigenating from next to nothing and celescalating the himals and all, hierarchitectitiptitoploftical, with a burning bush abob off its baubletop and with larrons o'toolers clittering up and tombles a'buckets clottering down.
→宮田「エッフェル塔のごとき摩天楼ウルワースの高さまで。零より立ち上がって空駆け上がる、位階最高高僧の足もよろける絶頂感。バベルの塔の天辺に燃え尽きることなき柴が燃え、大工道具の騒音(ラロンス・オトゥーラ)が空に上り、ひっくり返ったバケツがかたかた落ちる。」
柳瀬「目にもおさまらぬ塔ほうもない摩天楼、無からむくむく起っ立って、天スカレートに天膜までも貫かんばかりの高僧建築塔酔(すい)極み、だべるの塔天に燃ゆる柴ありて、杖使いらがかたかた上がり、斗升バケッツがからから落トゥール。」

waalworthは、宮田訳注にも載ってるがwoolworthウルワース・ビルディングというニューヨークの高層ビルらしい。ウィスコンシン州にwalworthという所があるがそんなに関係ないか。skyerscapeは、skyscraperが摩天楼、escape逃げるやscape花茎、柱身も見てとれるが両者訳とも「逃げる」とはないな。柳瀬の「天スカレート」はエスカレートとかの意味がありそうだ。eyefulは「目にいっぱいの、たっぷり見る」みたいな意味があるが、宮田ではエッフェル塔tour Eiffelの意味が入っている。hoythは、highth(height高さ、の古い形)とかHowth(最初に出てきた、ホウス城があるホウス)のことらしい。entowerlyはよくわからんがtowerは入っているから、enは「~の上に置く」とか「~にする」とかだからまあそんな意味だろう。

erigenatingは「オリジナルのoriginating」の意味があるようだし、erogenatingというと「性感を刺激する」ような意味。だから「むくむく起っ立って」とか書いてる。celescalatingとあるがcelestialは「天の」、エスカレートも入っている。himalというのは英語辞書では確認できなかったが、ドイツ語でhimmelとか言うと「天」である。ちなみにヒマラヤ山脈サンスクリット語の「ヒマ(雪)+アーラヤ(住みか)」なのでたぶん直接的な関係はない。

hierarchitectitiptitoplofticalという長い単語があるが、まあヒエラルキー、アーキテクト、トップ、ロフトは読み取れる。真ん中あたりのtitiptiとは?tiptopなら「頂点」だし、tip to topなら「底から頂点まで」という意味らしい。
abobはaboveだろうな。baubletopとは、やはりバベルbabelの意味があるし、フランス語でしゃべるはbavarderとか言うからそれも混じってるか。baubleその物なら英語で「安ぴか物」という意味がある。

宮田訳注にあるが、ロレンス・オトゥールはダブリンの守護聖人である。larronsはフランス語で「泥棒」。先にエサウヤコブの話が出てきたが、ヤコブのことを指してこの「泥棒」なのだとフィネガンズウィキに少し書いてある。toolersは「ツールを使う人」の意味になるのでそれでおそらく宮田では「大工」である。宮田での「騒音」というのがよくわからなかったが、clitterには「騒がしい音を立てる」意味がある。
tumbleは「転がる、落ちる」、bucketは「バケツ」だし、カンタベリー大司教のトマス・ア・ベケットでもある。tomblesにトマスが入っているとも読める。
clotterは古語で「塊にする」というような意味らしい。さっき出たclitterの意味もあるはずだ。
clittering upと来てclottering downだから韻を踏んでるんだろうな。